★★★★★ハゲタカⅡ上 真山仁
前作から1年が過ぎ、軍用機の話から物語は始まる。テスト飛行がうまくいかなかったのは装置の精度の甘さが原因で、日本の曙電機という会社が特許を持っていたことが判明する。軍需ファンド「プラザ・グループ」はその会社への買収を始める―――
息つく間もなく一気に読んでしまいました。アランの死は物語の大きな転換点となりました。放浪の旅から帰った鷲津がその知らせを聞き、自暴自棄になってしまったのかもしれません。なりふり構わず買収を繰り返す姿は自分を見失っているように感じました。
一方でこの巻では飯島の策略が光ったように感じます。元部下の芝野を鈴坊のCRO(最高事業再構築責任者)にさせるため、かつて芝野が世話になった岩田名誉会長と引き合わせます。恩返しをしてくれと頼むことで、芝野が断れない状況を作りました。
さらに、アルコール依存症で入院していた芝野の妻の介護について、「イネ―ブリングっちゅうそうやな。ここは少し距離を置いてやるのが真の愛情と違うか」と諭します。ニューヨークに留学していた芝野の娘、あずさを呼び戻させたのは、かつて世話になった飯島の妻の口添えがあったからでした。
そして、鷲津たちが買収を仕掛けていた鈴坊を狙い・・
やはり自分はこういう買収や交渉、金融の話が好きなんだと思いました。