★★★★★ハゲタカⅡ下 真山仁
曙電機を巡る買収劇が本格的になってきて面白くなってきた。滝本率いるシャインが曙電機の買収をもくろむが、その背後にはアメリカの軍需ファンド「プラザグループ」の影があった。滝本は日本財界のトップでもあるが、外資と手を組んで日本の老舗企業を手に入れようとしていた。
前回の鈴坊の買収で痛い目にあった鷲津たちは、政治への根回しをしきりに進めていた。今回の騒動を日米戦争と例え、滝本氏を売国奴とののしる徹底ぶり。しかし、プラザの将軍ことカッツェンバック会長からの圧力に劣勢に立たされる。一時は覇気がなく心配されるほどだった。
しかし、そのままでは終わらないのが主人公たる所以なのだろう。アランの墓参りをすることがこの買収で勝利するカギとなると、パートナーのリンからここにきて告げられる。そして日米政府も巻き込んだ大ティールへとつながっていく・・
鷲津や芝野、諸星などの登場人物の性格がかき分けられており、読んでいて人柄が想像しやすかった。もちろん映像で見ていることも大きいかなと思う。なかなか伝えたいことをうまくまとめるのは難しいが、「主役は最後に勝つ」という展開にすっきりとした読み口を感じた。