社労士と行政書士のダブル受験体験記

2023年に合格を目指すブログです。

★★★★★ハゲタカ下 真山仁

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ハゲタカ下 真山仁

 

太陽製菓というお菓子のメーカーの買収話やミカドホテルのMBOの話など、企業買収がこの巻で本格化してきており、わくわくしながら読んだ。

 

同族経営は経営者たちにとっては経営がしやすかったり利益を一族で分け合えたりというメリットがあるが、客観的に見ると権力に固執していたり築いてきたものを手放せなかったりと見苦しい部分も多く見受けられた。

 

人間は感情で動くという話を聞いたことがあるが、今回も買収を防ぐために同業他社を巻き込んで本来の買収額より60億円以上もホライズンに出させたというのは、旧経営陣の執念を感じた。

 

一方でミカドホテルは経営危機の局面に立たされていた。打開するためには社長である実の父を追放しなければならない。芝野に相談という形を取るが、実は追放の青写真は出来上がっていて、そのシナリオの助けをしてほしいとお願いする辺りはしびれました。

 

芝野という男は誰にも優しく、誠意をもって人と接しているように感じた。飄々としながらも自分の言いたいことはしっかりと伝えてぶれない強さを持ち、それが元上司の飯島から頼られる要因となっているのだろう。

 

そして終盤では鷲津の父が自殺した真相を究明する中で芝野、飯島との絡みにたまらなく惹き付けられた。父は三葉銀行の闇をつかんでいたのだ。鷲津はそれを明らかにして二人に詰め寄った。

 

闇を暴いたことで後に日本を1年間も離れなければならなかったが、息子の復讐劇なる!という結末を迎えたのはスッキリとした読後感となった。